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研究レポート

ワサビ,ホースラディッシュ,白カラシ中の
種々のイソチオシアナートによるTRPA1,TRPV1チャネルの活性化

寺田祐子 ,**増田秀樹, 渡辺達夫
静岡県立大学 食品栄養科学部 食品生命科学科
**小川香料株式会社 舞浜研究所

 本論文1)の中から,辛味成分イソチオシアナート(ITC)によるTRPA1の活性化について紹介いたします.
 ワサビやホースラディッシュなどをすりおろすと,内在酵素により配糖体が分解され,種々のITCが生成します.ITCの辛味の強さは構造により異なります.さらに,香味の質も様々で,これまで強烈な刺激臭を放つアリルITC,グリーン感や甘味を有するITCなど,数多くのITCが見出されています2)
 TRP(Transient Receptor Potential)チャネルは痛みや温度といった感覚刺激のセンサーとして機能しています.TRPA1チャネルはその中のひとつで,辛味レセプターともいわれており,ワサビを食べると鼻腔中のTRPA1チャネルがアリルITCにより刺激され,辛味(痛みに似た刺激)と灼熱感をもたらすとされています.
 ワサビ,ホースラディッシュ(西洋ワサビ),白カラシに含まれる16種のITCの濃度とTRPA1活性の関係を検討した結果,多くのITCがアリル体と同様なTRPA1賦活能を示すことがわかりました(図は6種のITCの結果を抜粋).ITCの物性は構造により異なります.アリル体は加水分解しやすく,高い揮発性を示しますが,アリル体と比べ水中での安定性や脂溶性が高く,低揮発性のITCも数多くあります.
6種のITCの結果
 今回,アリルITCと同程度の高いTRPA1賦活能を有するITCが見出されました.これらITCに冷感・温感などの感覚刺激変化や,エネルギー消費量アップ(肥満防止に繋がる)などの効果とさらなる用途拡大が期待されます.

1) Terada, Y., Masuda, H., Watanabe, T., J. Nat. Prod. 2015, 78, 1937-1941.
2) Masuda, H., Harada, Y., Tanaka, K., Nakaima, H., Tateba, H. “ACS Symposium Series 637”, 1996, American Chemical Society, Washington, DC, USA, pp. 67-78.


「論文に関するお問合せ先:小川香料(株)総務部」
pr@ogawa.net

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