ペパーミントに含まれるフラボノイド配糖体の抗アレルギー作用
井上俊夫*、杉本幸男**、増田秀樹*、亀井千晃**
*小川香料株式会社、**岡山大学大学院医歯薬総合研究科薬品作用学分野
前回の報告ではペパーミント抽出物に抗アレルギー作用があることを見出し、花粉症の症状を緩和する作用があることなどを明らかにしました。今回は、ペパーミント抽出物に含まれる有効成分を明らかにしましたので、ご紹介します。
ペパーミント抽出物に含まれる抗アレルギー成分の探索
ラット腹腔マスト細胞からのヒスタミン遊離抑制作用を指標に、ペパーミント抽出物に含まれる抗アレルギー成分の探索を行いました。その結果、最も活性の高いフラクションから既知の成分、eriocitrin
(1)、narirutin (2)、hesperidin (3)、luteolin-7-O-rutinoside
(4)、isorhoifolin (5)、diosmin (6) 、5,7-dihydroxychromone-7-O-rutinoside
(7)およびrosmarinic acid (8) が得られました。それぞれの化合物は、13C-NMRおよび 1H-NMRを測定し、標品あるいは文献値と比較して構造を確認しました。

単離した成分のヒスタミン遊離抑制作用について
次に、単離したそれぞれの化合物について、compound 48/80(0.5μg/ml)で誘発されるラット腹腔マスト細胞からのヒスタミン遊離に対する影響を検討しました。その結果、フラバノン配糖体1、2、3はいずれも100μmolの濃度でも有意な抑制作用を示しませんでした。さらに、フラボン配糖体5および6も100μmolの濃度で有意な抑制作用を示しませんでした。しかし、luteolin-7-O-rutinoside (4)は濃度依存的なヒスタミン遊離抑制作用を示し、30μmolの濃度から有意な抑制作用を示しました。一方、クロモン誘導体である7や加水分解型タンニンに属する8は最高用量である100μmolの濃度でも有意な抑制作用を示しませんでした。以下の図は、フラバノン配糖体1、2、3およびフラボン配糖体4、5、6のヒスタミン遊離に対する影響を示しています。
以上の成績から、ペパーミント抽出物の抗アレルギー活性は、主としてluteolin-7-O-rutinoside (4)によるものと考えられました。また、フラボノイドの基本骨格の中でもB環のカテコール構造やC環の二重結合が抗アレルギー活性の発現に重要であることも明らかになりました。

Inoue
T., Sugimoto Y., Masuda H., Kamei C.; Antiallergic effect
of flavonoid glycosides obtained from Mentha piperita
L.. Biol. Pharm. Bull. 2002, 25(2), 256-259
「論文に関するお問合せ先:小川香料(株)総務部」
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